【王女メディア出演者紹介】若い女役 森田瓊子

今回は「王女メディア」でのもう一人の主役ともいうべき、若い女-コロス-についてです!

 

コロスの歴史

コロスはコーラス(合唱)という言葉の元になったそうです。古代ギリシャ劇の世界で、悲劇や喜劇が抒情詩的な作品だった時期には、重要かつ主要な構成要素だったようです。

コロスの元々はディシラムというギリシャの讃歌であったといいます。(ディシラムはディテュランボス、ディテュランベ、酒神讃歌(しゅしんさんか)とも言ったそうです。)、元々はディオニューソス神を称えるものだったらしいのです。その熱狂的な讃歌の性格はしばしばアポロンの神への讃歌と比較されると言います。『讃歌を神に捧げる。』これがコロスの大元だったようです。

 

ギリシャ悲劇の中のコロス

ギリシャ悲劇というか、ギリシアで行われた劇は野外で行われる野外劇の形をとっていたので、第○幕というものは存在しないそうです。そもそも幕がないので。
しかし、色々な方々が訳されている訳本では「第○幕」という訳語がついていますが、元のギリシャ語では「エペイソディオン」と言うそうです。
これは主に役同士の対話の場面であるそうで、このエペイソディオンの合間にスタシモンというコロスが歌い踊る部分が存在します。このエペイソディオンとスタシモンが交互に構成要素をなしているのがギリシャ劇の形だそうです。

 

そしてこの”もう一人”の主人公を…

このコロスの中心を、でこぼこギアの森田瓊子(もりた にこ)さんにお願いしております。森田さんは「玩具騎士団」に母親役、「デスマーチ」では声のご出演をしていただきました!
今回、この”もう一人”の主人公である「若い女」を森田さんにお願いしております。
森田さんの役作りは、「母役」の時もそうでしたが、非常に丁寧で、彼女のお芝居を見ているとその世界にグッと引き込まれます。これはホームグラウンドのでこぼこギアさんでももちろん同様で。
これは森田さんが脚本を書かれる、ということにも由来しているのかもしれませんが…森田さんの役が放つ雰囲気・声・仕草は本当に魅力的であります。
古典の世界へ誘う森田さんの「若い女」、メディアの心を代弁するこの役をどうぞご期待ください!

そして、この「メディアの心」を代弁するコロスは、森田さんを中心に、松井、長谷川、梨沢も共に努めます。
4人が織りなすコーラス。どうぞご期待ください!!

 

王女メディアは2月16日から!
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俳優を信頼できないで何が演出家か。

選ばれてなるもの…

昔…
僕の師匠が僕に言いました。
『演出家は選ばれてなるもんだ』
と。

これは、才能があるから、というわけでなく…俳優さんに、スタッフに、お客様に選んでもらわないと出来る職業でない、という意味です。
選んでもらうにはもちろん、お芝居に対する才能もあるかもしれません。

今で言えば、制作的な能力もあるかもしれません。
人間性もあるかもしれません…
演出家は…どんな理由でも選ばれないと仕事が進まないのです。

作・演出になったから偉くなったわけでもなんでもなく、役者さんが言うことを聞いてくれるロボットだと思ったら大間違いです。
あくまでも一緒に創っていく仲間なわけです。

そう考えると…演出家は役者を尊敬し、信頼しなければ、選ばれないと思うのです。この部分が欠けたら仕事になりません。
僕の先生はその事を端的に言っていたのだと感じています。

演出家が役者さんを信頼して役をお願いするのだと考えています。
極論ですが、信頼できなければ、自分が携わる作品に出すのもどうかと思います。

 

信頼関係

アルバイトでもなんでもそうだと思いますが、肩書きで仕事をするわけではないと考えます。これも僕の先生の受け売りですが、「威厳ってのは、周りがつけてるもの。肩書きは上からもらうけど、実際は下の人間の信頼がなきゃあ、立場を失う」と言っていました。
いくら仕事で実績を出しても部下の信頼を失ってはいけないということだと理解しています。

話は少しそれましたが、役者と演出家にたとえそれが年齢的上下関係があったにしろ、それ以上に信頼関係がないとできません。演出家がいくら威張ってみたところで、現実に舞台に立つのは役者さんなわけですから。
方法論としての、言葉が悪いとか、叱るとか、悪態をつくというのはまた別のお話だと思います。

俳優を信頼できないで何が演出家か。
作品を愛す事と同様に俳優さんも愛す事が肝要だと考えています。

 

メディアの稽古場では…

ぼくは今回「演出」としては、この作品に関わっていません。
演出はいとう、梨沢、演出協力として石井。
彼女たちはもちろん、ぼくを含めた俳優を信頼してくれているでしょう。そして、その信頼をより強固にそしてさらに進化させていくにつれ、自分の役も作品自体も練り上がってきていると感じています。

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【王女メディア出演者紹介】アイゲウス役 稲木晃浩/西村公佑

救いを求めた・・・

王女メディアの中でメディアが助けを求めるアイゲウスという人物がいます。
アイゲウスはアテーナイ(ギリシャ共和国の首都アテネの古名)の王です。
ギリシャ神話の登場人物であり、トロイゼンのピッテウス王の娘アイトラーとの間に英雄テーセウスをもうけたとされています。
後にテーセウスがクレータ島のミノタウロスを倒して帰還した時、誤って黒い帆を張ったまま帰還した為、息子が死んだと思い込み、海へ投身自殺してしまったそうです。
その後この海は彼の名に因んで「エーゲ海」と名付けられたそうです。

 

この二人がチャレンジします!

稲木晃浩
西村公佑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稲木と西村。このアイゲウスとイアソンをそれぞれダブルキャストで演じます。
2017年に入団し、
ふたりとも、玩具騎士団、デスマーチと新和座の舞台はすでに出演はしております。してはおりますが…今回の「ネクストチャレンジシアター」はこの二人を中心をした舞台であり、彼らが初めて挑戦する「古典」演劇であります。
二人がつくる「アイゲウス」は…それぞれ違います。
解釈も違う部分もありますでしょうし、そもそも、声も姿形も違います。
しかし、物語上の”アイゲウス”から大きく逸脱することはなく、否、逸脱したとしても・・・皆様に納得していただけるアイゲウスを創っております!
ぜひご期待ください!

 

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表情と身体の動きと言葉

言葉を発するということ

「王女メディア」の稽古も最初は役の基幹となる部分を創ります。
この基盤がしっかりしていないと、役が何を喋っても、どう動いても…お客様には伝わらないのではないか、と考えています。
いくら声が良くても表情が伴わければ意味がないですし、表情ができていても、声がその場にあってなければ意味がないということに通じると考えています。
つまり、普段の生活の中でもそうですが言葉を発するというのは、何かの欲求があり、その欲求を満たすための衝動があり、方法として、喋る、言葉を発する、ということが一般的ではないでしょうか。
その一連の動きの中でやはり、その欲求に伴った’顔’というものは出てきてしかるべきだと考えています。

 

お客様をもひきつける・・・

もちろん、表情だけでなく、身体の動き、向き、視線…おおよそ人間がとる行動というものは喋る時に同時に伴うものだと考えています。
その行動や言葉というもので、他者、お客様を含めた他者を惹きつける事が舞台演劇をする上で重要な要素の一つだと思っています。
ですので、役の基幹を創る時、稽古場では、喋る言葉と共に、その方向、視線、向き、表情というものに留意して創っています。

以前も書いたかもしれませんが…稽古場で、他の役者さんが見せる表情が自分の役のヒントになることもあったりします。その表情を受け、自分の役の表情を創っていく。こうした作業も私たちの稽古場では大切にしています。

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【王女メディア出演者紹介】守り役役 長谷川奈美

守り役の役目

王女メディアではメディアの子供を世話する守役という人物が出てきます。

では守役の役目とは一体なんなのでしょうか。
これは色々な文献によっても違うようですが、守役の役目として挙げられるのが『主人の子を守る』というものだそうです。
読んで字の如くって感じですが・・・古代ギリシアではどういった人が守り役に選ばれたのでしょうか。子供をあやすのが上手い人でしょうか、子供の躾がきちんと出来る人でしょうか。それとも単に身の回りの世話が出来れば良いとの考えから基準はなかったのでしょうか。・・・守るというくらいですから、武に長けた人が選ばれたのでしょうか・・・メディアのお稽古を見ると様々な想像が浮かびます。

長谷川奈美が努めます。

今回、守役を努めますのが、長谷川奈美です。
画像では妖艶な感じが出ておりますでしょうか?!今まで新和座をご覧いただいたお客様からは、「美しく迫力がある」とお褒めのお言葉をいただくことが多いです。その迫力が今回、守り役で表すことができますでしょうか?!ぜひ、劇場にてご覧ください!
松井の乳母と長谷川の守り役のペア。つまり乳母と守り役との関係という部分もお客様にご覧頂きたい1シーンです!この二人といえば…”新和座チャンネル”の名?迷?コンビであります!二人のコンビネーションをぜひぜひご覧いただきのです☆
子供を守り、育てるという共通の目的をもった乳母を守り役・・・二人がどう作るか、ご期待ください!!

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ギリシャ悲劇って・・・

ギリシャ悲劇の世界

ギリシャ悲劇とかって最初、なんかお固いイメージで取っ付き難いなぁ~と思っていました。劇団制作の人間の言葉とも思えませんが…王女メディアのお稽古を見ていると現代でも普遍的に扱われる題材なんだ、と感じています。
調べてみますと、そもそもギリシャ悲劇は、古代ギリシア時代に、アテナイ(ギリシャ共和国の首都アテネの古い名前だそうです)のお祭で上演されていた悲劇で、その上演は競作の形を取っていたそうです。競作に参加する悲劇詩人は、三つの悲劇と一つのサテュロス劇(滑稽なお芝居)をひとまとめにして上演する必要があったそうです。まるで日本のお能のようです。能と狂言がのような関係なのでしょうか。

観客は参加した悲劇詩人のうちで誰のものが最も優れていたかを投票し、優勝者を決めていたそうです。こちらも日本の演劇祭のような印象をうけました。
この中でも 最も有名な悲劇詩人は、三大悲劇詩人として知られているアテナイのアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスだそうです。
今回の「王女メディア」はこのエウリピデス作のものです。

当時は野外劇場で…

ギリシャ悲劇は正しくは、ギリシア悲劇というそうで、仮面をつけた俳優と舞踊合唱隊(コロス)の掛け合いによって進行していきます。劇場は丘などの斜面を削って建造されていました。
劇場全体はすり鉢状になっていて、底の部分に俳優が演じる舞台と合唱隊用の平土間(オルケストラ)があります。野外劇場だったそうですが、演者や合唱隊の声がよく届くよう音響効果の優れた構造が取られていたようです。客席は、すり鉢の斜面部分に、舞台を半円形に囲うように設置されています。本当に驚く事にどの席からも舞台がきちんと見えて、舞台上でのひそひそ声も客席の最上段でもクリアに聞こえるらしいです!
現代の日本の劇場でも、この様式を取り入れているところがあるそうです。彩の国さいたま芸術劇場などは代表ではないでしょうか。

今回、劇場は屋内ですが…舞台上のやりとりを劇場内のお客様すべてにお届けすべく、俳優もスタッフも工夫を凝らしております!
是非とも、2400年前に描かれ、現代でも問題になることがある、”不倫”に端を発する物語をご覧いただければと存じます☆

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【王女メディア出演者紹介】乳母役 松井ともみ

新和座のいちご姫

今回、”メディア”の側に寄り添い、彼女の怒りも苦しみも悲しみも一番近いところで見ている乳母。
その乳母役を演じますのは、新和座のいちご姫こと松井ともみです。
松井は今まで新和座の公演で常にチャレンジしてきました。

デスマーチシリーズでの花崎かおり、玩具騎士団でのマリオネット、ロミオとジュリエットでのベンヴォーリオ。
常に新しい役、常に新しい世界を切り開いてきました。

 

乳母という役どころ

おそらく・・・松井の今回の「乳母」という役は迷いに迷って役を作っているのではと感じています。
なぜならば、今まで松井が演じてきたどの役とも違う役どころなのです。

乳母はメディアにずっと寄り添ってきました。
メディアの怒りも苦しみも悲しみも…メディアに一番近いところで見てきたのです。
だからこそ…イアソンの不倫に胸が痛む。メディアの心の叫びを誰よりもわかっている人間なのです。

もちろん、演じる松井は新和座の誰よりも他人に心を寄せることのできる人間です。
お客様に対しても座の誰よりも丁寧です。

その松井の普段の「心」が乳母役としてどのように昇華されていくか…ぜひ、劇場で見てみてください!
普段できていることが…役にも反映できる、これは簡単なようでいて難しいと思っています。
それを松井は今、チャレンジしています。そして、皆様にご覧いただく時にその「心」がお客様に届くことでしょう。

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