▼今日の気候、風は秋を感じました。どんどん涼しくなっていくのでしょうか・・・ぼくは実は秋が一番好きです。食べ物が美味しい秋。きのこが美味しい秋☆
▼さてさて、今日は久々にお芝居について、「役同士の関係性」について書いていきたいと思います。
▼新和座の稽古の中では・・・ぼくが演出をする時は、と言ったほうがいいかもしれませんが・・・「関係性を考える」時間を取る時があります。台本を元に俳優同志がお互いの役の関係性について議論したりする時間です。
▼何故このような事がひつようなのか。ぼくは「台本に全てが書いていないから」だと考えていて、それを補完するためにこういう時間を取ります。
▼台本は作品の拠り所になるのは間違いありません。その作品について台本以外に戻るところはありません。その物語の総ては台本に書いてあります。
▼「あれ?さっきと言っていることが違う」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。言い換えると『台本には総て書いてあり、総て書いていない』と考えています。
▼二律背反です。その作品について、設定や登場人物の台詞、動きは台本が総てです。色々な考え方がありますが・・・台本に書いている事を一字一句変えないようにぼくは努めています。(これについてはまた別の機会に書こうと思っています。)しかし、各登場人物について、すべての仕草、動きが書いてあるとは限りません。
▼というのは、各登場人物の呼吸の数や、まばたきの数、手の角度、指の位置、口のカタチ・・・台詞については(特別な場合を除き)言い方なんて書いていません。これは基本的には役者さんが創っていくものだと考えています。
▼つまり台本に書いていないことを創る作業があるわけです。これは自由であると同時にとても難しい作業です。
▼役から離れ、自分が・・・目の上の人に対しての場合、自分よりも後輩、同輩に対しての場合、同じ言葉をいう場合でも言い方や視線、動作、仕草が違ってきます。こうした「人によって対応が違う」(悪い意味でも良い意味でも)事は、実生活の中では無意識の中で判断していることが多いように思います。しかし、台本の中では「人によって対応を違える」ということは特別な場合を除いて台本には書いていません。
▼台本は基本的に”台詞”と”ト書き”しか書いていません。そうした文字の中から、関係性を模索し、言い方や仕草、動作を創っていくわけです。実生活の中では無意識に行っていることを考え、且つ、役としても無意識に行う。役と役者は違うわけですから、当たり前と言えば当たり前ですが・・・とても難しい事とも言えます。
▼ですので、自分の役が他者に対して、どのような関係にあるのかを考えるのがこうした”人によって異なる対応”を考える第一歩だと考えています。そして、それを役者・スタッフ間で共有することは稽古を進める上で大切だとも考えています。
▼もちろん、お客様にご覧頂く際、こうした人間関係が・・・全て透けて見えては本末転倒になってしまいます。共有することとそれを仕草・物言いに反映する時は、やはり台本に戻り、矛盾がないかどうか確認することも肝要だと考えています。