▼今日は「耳」のはなしを書きたいと思います。
▼お芝居の勉強を始めますと…どんな声優学校でも俳優養成所でも・・・大抵は共通語、標準語のアクセントを学習する時間があると思います。
▼ぼくは役者修行時代、「なんで今更・・・十数年も二十数年も慣れ親しんだ言葉を矯正されなきゃならんのだ!」と思ったものです。ひねくれ者なので。
▼共通語をしゃべれば、より多くの人に言葉が伝わるというのが理由の大きなところの一つだと思います。
▼ですが、私は今までどんな舞台でもドラマでもアニメでも・・・厳密に全て共通語でつくられている作品に出会ったことがありません。
▼では何故、必死になって共通語のアクセントを身につけるのでしょうか?
▼私とかかわりを持っていただけた方はこの話は良く聞く話だと思いますが私は発声にしても滑舌にしてもアクセントの練習にしても
『耳を鍛える』ために行っているものだと考えています。
▼極論で書いてしまうと、先天的なものや、病気で耳が悪い方は話しことばが話せない状態になることがあるといいます。また、ヘッドフォンなどで大音量で音楽を流している時にしゃべろうとすると、何を自分でしゃべっているかきちんと理解できない時があります。
▼混同してはいけないとは思いますが、上記のことから発声やアクセント、滑舌の上達方法として、明瞭な話し言葉(アクセントや滑舌)と自分の話し言葉の違いを聞き分ける能力を身につけることが、練習する上で目的とする一つだと考えています。
▼アクセントは何度も何度も共通語のアクセントで読めば身につくと思いますが、それでは、「その例文」しか身につきません。(もちろん、例文も身につかない、というのは論外ですが)そうした例文の練習を元に、色々な言葉を聴き、違いが分かる耳を持つことが色々な現場で役立つものだと私は思っています。