一つの文章で何パターンできるか。
1つのセリフで何パターンの喋り方、表現の仕方ができるでしょうか。
昔、俳優をやっている時にマネージャーさんや先生方から「オーディションや仕事に臨む際、少なくとも3パターンの演技を考えていく必要がある」と言われていました。
これにはいろいろと理由あるとは思いますが・・・
一つには、「ディレクターのイメージ」と「演者のイメージ」が必ずしも一致しない、ということがあります。
もちろん、キャスティングされた以上、大まかには一致している部分はあると思いますが…それでも、全てのセリフ、全ての仕草について、イメージが完全一致することはありません。
ですので、より多くのパターンを創ることでそのイメージを少しずつすり合わせることが可能となってくるからです。
表現は一つではない
一つのセリフで表現は一つではありません。表現する人が違えばもちろん、違ってきますし、同じ人だとしても…役の背景や、設定でも変わるでしょうし、演者さんの持っている技術や身体的能力によっても変わってきいます。
同じ演者さんであっても・・・表現を創ることは無限にできます。
ただ、公演や本番では、1度きりのチャンスです。
そこに向かって、試行錯誤していくわけですが・・・
一つのセリフについて、一つの喋り方だけをずっと練習することも必要です。しかし、お芝居には相手、共演者もいます。
そうした相手とのセリフのやりとり、きっかけのやり取りをすることで変化していくと考えています。
その状況の変化に対応していくためにも、稽古前に自宅や稽古場以外で、様々に変化させた喋り方、動きを研鑽していくことが必要だと考えています。
そうした中で…思い込みをなくす。
今回の稽古では、練習用の課題を使って、変化に必要な要素を一つひとつ認識して、その要素一つひとつについて、変えていくことでセリフの喋り方の変化を確認していきました!
座員それぞれ、得手不得手はありますが・・・色々なパターンが出てきました。
物語を創っていく中で…一番怖いのは「思い込み」です。「この役はこうだろう」「この役はこんなことしない」と予め制限をかけてしまうと、表現の幅を狭めてしまうと私は考えています。
何故ならば、そのセリフ全てに使えなくても…そのセリフの一部でも「その役が言わないような言い回し」をすることで新しいパターン、新しい表現が出てくるわけですから。
作品を創る上で思い込みは最大の敵です。
思い込みをできるだけなくし、且つ、イメージは最大限に広げて色々な表現にチャレンジしていきます!