意識すること

興味をもつ

稽古をしていてよく思うことがある。
もっと、興味を持とうよ、と。

これは、稽古中はもちろん、休み時間でもそうであったりする。
ぼくがこれを言うのは・・・役作りというか・・・作品作りにも直結すると考えているからだ。

台本上にある役はもちろん、普段のぼくらとは違う。
役は役なんだ。
だからこそ、物語全体から見て、端役だろうが、悪役だろうが、主役だろうが、ヒーローだろうが・・・
その登場人物たちの行動には必ず「理由」と「衝動」がある。
事実や正解ではなく、そこにあるのはあくまで役としての「理由」と「衝動」なのだ。

役者としての自分がその役の行動を理解できない時・・・
それはその役に未だ拒絶感というか、「なにか違う」という思いがある証拠だ。

人間生きていて・・・結果として「失敗した」「違ったな」と思うことがあっても、行動する前から「これは間違っています」と考えながら行動することは”そういう理由”がある場合以外にない。

つまり、役者が役の理由を考えていないか、その役を総て肯定して捉えていないから生じることだと考えている。

役作りの第一歩は『好きになることから』

ぼくは役作りの第一歩はその役を『好き』になることだと思っている。
これは、単純に「この役すき〜」とか言うことではない。
たとえ、その役が自分の信条に背いた行動をとったとしても、自分とは違う行動や考えを持っている役だったとしても、全てを肯定し、理解できるまで好きにならねばならない。
ーーー世の中に完璧ということはないが…この好きは100%完全無欠で好きでなければならない。

そうすることで、その役がとる行動、台詞全てにおいて、「なぜ」という考えや「なるほど」という考えが役者の中に入ってくる。
役を演じる以上、役者の都合が入り込む隙がないくらい、その役として舞台上で生きなければ、お客様には伝わらない。
だから、その役の全てを知ること。そのためにはその役に興味を持たなければならないし、興味を持つには好きにならねばならない。

もし、片思いしているのであれば・・・そういう状況であれば、
好いた相手の全てを知りたい、と思うのは至極当然のことではないだろうか・・・そう、秘密に至るまで。

そして、他者への意識

自分の役だけではない。
舞台で立つ以上、他の登場人物もいる。
その人間がどう動き、その人間が何をしゃべるか・・・今度は役として興味を持たねばならない。
台本に書いてあるから台詞を喋る、動く。
これは誤解を恐れずに言えばだれでもできる。
舞台に立つ以上、その先・・・なぜ自分の役がその行動をとったのか、ということが・・・相手の行動に起因する場合、その全てをお客様に伝える必要がある。
でなければ物語は成立しない。

だからこそ、普段から、周りの人に興味を持つことは大事だ。
特に、舞台をやる上では、生でお客様にご覧いただくわけだから、その連携・雰囲気はお客様にはダイレクトに伝わる。
仲がいいとか悪いとかではない。
お互いに興味を持ち、反応しあっているかどうかが大事だとぼくは考えています。

舞台演出家の指導が素晴らしく、その輝きに目を覆う俳優陣。

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