公と私と。

どんな人でも…

どんな人間でも”公”の部分と”私”の部分があると考えています。
会社だったり、バイト先だったり、家族であったり…
自分以外の人間と接するとき、いろいろな”公”を背負う場合があります。

よくぼくは「武藤さん」と呼ばれますが…細かく考えると、個人では呼ばれていないような気がします。
個人で呼ばれるとすれば、「武藤賀洋」さんがより個人っぽいですし、もっと正確に申せば、
「○○市××区△△町の武藤賀洋」が個人を指すと思っています。

ちょっとそれてしまいましたが、、、、
仕事でもそういう時があります。
「武藤さん」ではなく、「新和座さん」と呼ばれることがあります。

 

公と私と

こう考えると、誰でも個人としてと、公(組織)としての立場を持っている気がします。

この個人の思いや行動と”公”の意思・行動というのは必ずしも一致しない場合がまま、あります。

その時、僕は辛抱できるのか。
その時、僕は壊れずにいられるのか。
その時、僕は本当に僕を出さずにいられるのか。
はたまた、我を出してしまって、全てを破壊するのだろうか。

お芝居を作る時もそうです。
ぼくの我が出てしまいすぎやしないか。
しかし、ぼくの思いがでなければ、それはぼくの作品ではないとも思います。
こうした二律背反を抱えながら…稽古は進んでいくものだと思っています。

どちらがどう、というわけではなく。
公と私と。

ぼくはこう見えて、なるべく「私」の部分を消そうと頑張っています。
しかし、完全に消すことはできません。

クレオン王を演じていもそうです。
どこか、「私」の部分が出てしまいます。
しかし、クレオンと作品としての王女メディア、新和座という色々な要素が加わった時、ぼくの「私」の部分だけでは作れないのも事実なわけです。

こうした矛盾するようなふたつを抱えて、ぼくは・・・ぼくらは作品を作り続けていくのだと考えています。

 

王女メディアは2月16日から!
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【王女メディア出演者紹介】メディア役 いとうともえ

太陽の神の孫

今回は「王女メディア」の主人公、メディアについてです。
メディアはメーデイアとも言い、ギリシア神話に登場するコルキスの王アイエテスとアステロディアーの娘で、太陽の神ヘリオスの孫です。女神ヘカテの魔術でイアソンのアルゴナウタイの冒険を成功に導きました。

 

メディアの思い

メディアは神話でもこの「王女メディア」の物語でも、いわゆる酷いことをたくさんします。弟を殺したり、イアソンの叔父ペリアスの娘に父親を殺させたりします。
しかし、これは全てはイアソンの為。イアソンの為にこうした悪事にも手を染めたのです。

もちろん、個人的にはこうした方法が良いとは思えませんし、現代では通じる方法ではないと思います。
しかしながら…こうした思い、”思いを寄せるものの為なら、手段は選ばない”ということは非常に理解できます。

こうした総てを注いだイアソンがメディアとの結婚の誓いを破棄してクレオン王の娘グラウケーと結婚しようとしてしまいます。
これにメディアは…

 

メディアに挑戦するのはいとうともえです。

このメディアに挑戦するのは、座長いとうともえです。

普段のいとうは、本人が発する声、雰囲気から「癒やし」の人と言われています。ふんわりボイスに物腰の柔らかさ、そして、徳の高さ。座員が慕っております。
そんな彼女が…正反対の・・・この狂った女、「メディア」を演じます。

おそらく色々と苦労していることがあると思います。
しかしながら、稽古を進めていく度に「王女メディア」が産まれてきています。

今までに、誰もやったことのないメディア。これが今、産まれつつあります。
新しいメディア。是非、劇場にて御覧ください!!!

 

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【王女メディア出演者紹介】クレオン王役 武藤賀洋

王女メディアの発端は…

アルゴー船での冒険を終えたイアソンは妻メディアの協力もあって、イオルコスの王になったわけですが、その王位継承の際、メディアは先王であったイアソンの叔父ペリアスを彼の娘を欺いて殺してしまいます。
その殺人の罪でイオルコスを追われたイアソンとメディア。彼らはコリントスに流れ着きます。
コリントスの王クレオンは罪人とはいえど、イアソンの人柄をずいぶんと気に入り、自分の娘クラウケーとの結婚話を持ちかけます。こうして、エウリピデスの「王女メディア」が始まるわけです。

 

オイディプス王にもクレオン王

ギリシャ悲劇がお好きな方ならご存知のお話かもしれませんが、古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが、書いたギリシャ悲劇の最高傑作として名高い「オイディプス王」にもクレオンという名前の王が出てきます。
色々な文献を参考にしますと、この二人別人だということなのです。
オイディプス王に出てくるのは、テーバイの王で、メディアに出てくるのはコリントスの王クレオンです。’クレオン’にはもともと『支配者』という意味がこめられているそうです。

 

支配者クレオン

メディアの本編では、クレオンは自分の娘をイアソンに娶らせた直後より始まります。これはいつの世も同じかもしれませんが、政略結婚でない限り、自分の子供を嫁に嫁がせるわけですから、かなりイアソンの事を気に入っていたのでしょう。

今回、このクレオン王を演じるのは文芸部の武藤です。
いつもは偉そうに演出していますが…今回は演出から離れ、このクレオン王に向かい合っています。

余談ですが…実際の武藤も、稲木・西村を大変気に入っており、「こういう大人にならないでね」と言って稽古をしております。

武藤はこのクレオン王がとっても好きだと言っております。この好きな役を武藤がどう演じますか、是非劇場にてご覧いただければと存じます!ご期待ください!!

 

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【王女メディア出演者紹介】報告者役 梨沢千晴

ギリシャ悲劇での殺人場面

ギリシア悲劇の色々な台本や文献を読んでおりますと、ギリシア悲劇では舞台上で殺人場面が出てくる事はないようです。現代の上演形態ではこの限りではないようですが、原作というか、そのままの物語ですと、その死に様は目撃者の証言によってのみ描写され、表現されるようです。
今回、私どもの王女メディアもこの「報告者」の証言が物語を一歩進めます。その内容は殺人現場のことなのか、はたまた、別の「重要事項」なのかは劇場でご覧いただきたいのです!

 

この報告者を…

この報告者を演じますのは、梨沢千晴です。梨沢は今まで、「ロミオとジュリエット」ではジュリエット、「デスマーチシリーズ」では垣田このはなどなど、新和座の舞台では中心となる役を演じてきました。
今回の「報告者」はいわゆるメインキャストではないかもしれません。しれませんが…この報告者が口にする「事実」こそが王女メディアを突き動かす役です。この役に挑む梨沢は持ち前のアイデアをどんどん盛り込み、創っております!
今回いとうと共に演出を努める梨沢。こちらもチャレンジです。演出・演技指導を通じて、自身の芝居にもどんどん変化があるように見受けられます!
梨沢が発しますパワー、ぜひ、劇場にて御覧ください!!

 

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【王女メディア出演者紹介】若い女役 森田瓊子

今回は「王女メディア」でのもう一人の主役ともいうべき、若い女-コロス-についてです!

 

コロスの歴史

コロスはコーラス(合唱)という言葉の元になったそうです。古代ギリシャ劇の世界で、悲劇や喜劇が抒情詩的な作品だった時期には、重要かつ主要な構成要素だったようです。

コロスの元々はディシラムというギリシャの讃歌であったといいます。(ディシラムはディテュランボス、ディテュランベ、酒神讃歌(しゅしんさんか)とも言ったそうです。)、元々はディオニューソス神を称えるものだったらしいのです。その熱狂的な讃歌の性格はしばしばアポロンの神への讃歌と比較されると言います。『讃歌を神に捧げる。』これがコロスの大元だったようです。

 

ギリシャ悲劇の中のコロス

ギリシャ悲劇というか、ギリシアで行われた劇は野外で行われる野外劇の形をとっていたので、第○幕というものは存在しないそうです。そもそも幕がないので。
しかし、色々な方々が訳されている訳本では「第○幕」という訳語がついていますが、元のギリシャ語では「エペイソディオン」と言うそうです。
これは主に役同士の対話の場面であるそうで、このエペイソディオンの合間にスタシモンというコロスが歌い踊る部分が存在します。このエペイソディオンとスタシモンが交互に構成要素をなしているのがギリシャ劇の形だそうです。

 

そしてこの”もう一人”の主人公を…

このコロスの中心を、でこぼこギアの森田瓊子(もりた にこ)さんにお願いしております。森田さんは「玩具騎士団」に母親役、「デスマーチ」では声のご出演をしていただきました!
今回、この”もう一人”の主人公である「若い女」を森田さんにお願いしております。
森田さんの役作りは、「母役」の時もそうでしたが、非常に丁寧で、彼女のお芝居を見ているとその世界にグッと引き込まれます。これはホームグラウンドのでこぼこギアさんでももちろん同様で。
これは森田さんが脚本を書かれる、ということにも由来しているのかもしれませんが…森田さんの役が放つ雰囲気・声・仕草は本当に魅力的であります。
古典の世界へ誘う森田さんの「若い女」、メディアの心を代弁するこの役をどうぞご期待ください!

そして、この「メディアの心」を代弁するコロスは、森田さんを中心に、松井、長谷川、梨沢も共に努めます。
4人が織りなすコーラス。どうぞご期待ください!!

 

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【王女メディア出演者紹介】アイゲウス役 稲木晃浩/西村公佑

救いを求めた・・・

王女メディアの中でメディアが助けを求めるアイゲウスという人物がいます。
アイゲウスはアテーナイ(ギリシャ共和国の首都アテネの古名)の王です。
ギリシャ神話の登場人物であり、トロイゼンのピッテウス王の娘アイトラーとの間に英雄テーセウスをもうけたとされています。
後にテーセウスがクレータ島のミノタウロスを倒して帰還した時、誤って黒い帆を張ったまま帰還した為、息子が死んだと思い込み、海へ投身自殺してしまったそうです。
その後この海は彼の名に因んで「エーゲ海」と名付けられたそうです。

 

この二人がチャレンジします!

稲木晃浩
西村公佑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稲木と西村。このアイゲウスとイアソンをそれぞれダブルキャストで演じます。
2017年に入団し、
ふたりとも、玩具騎士団、デスマーチと新和座の舞台はすでに出演はしております。してはおりますが…今回の「ネクストチャレンジシアター」はこの二人を中心をした舞台であり、彼らが初めて挑戦する「古典」演劇であります。
二人がつくる「アイゲウス」は…それぞれ違います。
解釈も違う部分もありますでしょうし、そもそも、声も姿形も違います。
しかし、物語上の”アイゲウス”から大きく逸脱することはなく、否、逸脱したとしても・・・皆様に納得していただけるアイゲウスを創っております!
ぜひご期待ください!

 

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表情と身体の動きと言葉

言葉を発するということ

「王女メディア」の稽古も最初は役の基幹となる部分を創ります。
この基盤がしっかりしていないと、役が何を喋っても、どう動いても…お客様には伝わらないのではないか、と考えています。
いくら声が良くても表情が伴わければ意味がないですし、表情ができていても、声がその場にあってなければ意味がないということに通じると考えています。
つまり、普段の生活の中でもそうですが言葉を発するというのは、何かの欲求があり、その欲求を満たすための衝動があり、方法として、喋る、言葉を発する、ということが一般的ではないでしょうか。
その一連の動きの中でやはり、その欲求に伴った’顔’というものは出てきてしかるべきだと考えています。

 

お客様をもひきつける・・・

もちろん、表情だけでなく、身体の動き、向き、視線…おおよそ人間がとる行動というものは喋る時に同時に伴うものだと考えています。
その行動や言葉というもので、他者、お客様を含めた他者を惹きつける事が舞台演劇をする上で重要な要素の一つだと思っています。
ですので、役の基幹を創る時、稽古場では、喋る言葉と共に、その方向、視線、向き、表情というものに留意して創っています。

以前も書いたかもしれませんが…稽古場で、他の役者さんが見せる表情が自分の役のヒントになることもあったりします。その表情を受け、自分の役の表情を創っていく。こうした作業も私たちの稽古場では大切にしています。

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