歴史とストーリー

先週のトマトに続き、その後パセリとバジルと大葉を育て始めました。
当初トマト用に買っていた鉢が余っていたのでせっかくだから何か別のものをと思いまして。
もちろんトマトも順調に育っております。
植物の成長は目に見えて早いから育ててる感が強いですね。
育てるにあたり土も沢山買い足したのでついでにこれまで育てていた他の植物も鉢を移し替えてあげました。
毎朝いちばんに植物たちを眺めるのが日課です。癒されるー。
巷では苔が流行っているらしいですが、なんだか気持ちがわかります。
鉢とはいえ、やはり緑は目にいいですね。

 

ストーリーのあるものが好きです。
以前旅先のとあるアンテナショップに行った時に、買った黒米について。
○○大学出身の元々は○○にいた方が、これを育てるのに一番適した土地を探してそれが○○だったんです。この土地の性質がこんな性質で、 これこれこういう特性で、こういうふうに使って……と、お店の方が説明してくださってえらく感動したということがありました。

 

ただ並べられたものを見るだけではわからないことが、それらの情報により厚みを増し、その瞬間味に変化があるということではないのですが、強い理念や想いがあるものはきっとそれを知ることができた方がずっと、そのものを楽しめることができると思うのです。
どんな分野でもそうですが、そのものについてのプロ意識の高いものはよくないものがない気がします。
その分野のプロではないのでもちろん正確な判断をできるわけではないのですが、こだわりや信念や強い思いにはついてくるものがあるわけで。
何もなかったら何も語れない。と思うのですよ。だから、そういうお話を伺った時はきっとそういうことなのだろうと思っています。
だからそのものに対する純粋な好みの意味での好き嫌いはあったとしても、よくないものはないと思うのです。

 

普段生活するうえでほとんどの食べ物や使うものは、実際誰がどういった思いでどんなふうに作っているのかわからないものだらけですが、わかるものにふれる機会がある時は、なるべく触れるようにしています。

 

先日は、フルーツパーラーでパフェを食べて帰ろうとお店の外に出たところで、 食べたフルーツについてお店の方が教えてくださいました。
フルーツが入っていたのであろう箱の裏に地図を書き、この場所で取れるこのフルーツの色味が変化していく理由、貴重になる理由、フルーツに含まれる栄養素や効能など。
直接お話を聞けるというのは単純にそのものの情報を得ることができるというだけではなく、話している間にその方自身と接した雰囲気、語り口調からもその方を知ることができ、だからこういう方が、こういうものを作っているのだ。というストーリーの厚みが増すことですね。

 

そして不思議なのは、少し話すだけでなぜかその方のそのものに対する想いの強さがこちらに伝わってしまうということ。
気持ちが強いからつい語りたくなってしまっているのか、強いからこそ語りたいのか、理由はどうあれわたしはそういうプレゼンテーションに弱いのでありまして、熱心に歴史や理念や特性なんか語られると納得して大抵そのまま購入に至っています。
これだけ想いがあるものによくないものなんかない。という考えは裏切られたことはありません。
そしてそういう方に出会うたびに、わたしもしっかりと根底にはそういうものを持ち合わせていなければいけないと気持ちを引き締めるのでありました。

 

旅するルイヴィトン展に行ってきました。
今から約十年ほど前に父に「ひとつプレゼントします。いいものがどういうものかを知りなさい」と言われ当時はわけもわからないまま使い始めたルイヴィトンのバッグ。
ある日派手に転んでバッグも身体と一緒に結構な勢いで地面に擦り滑ったにもかかわらず、穴があくどころかほとんど無傷だったのを見てから、じわじわと実感。
それ以来、持ち物が寿命を迎えるたびにルイヴィトン製品にひとつずつ替えてきました。
軽くて丈夫なので、少なくても買い替えてこの数年、まだまだ買い替えなければいけない雰囲気はありません。
何度もここにも書いてきましたが、ものを買うのも捨てるのも苦手なわたしにとってはとてもあっていました。
メンテナンスにも何度か出していますが、直して使い続けられるというのもいいです。買い替えるのは楽ですがわたしは長く大切に同じものを使いたいのです。
もちろん十年前のバッグも今でも使っています。

 

この間いろいろなお店のものも使ってきましたが、やはり荷物を入れて持ち歩くのだから軽さと丈夫さと、そして長く使い続けるための普遍性が大切だなあと思い結局ルイヴィトン製品に戻り。他のものにも他のものの良さがもちろんありましたがわたしが考えたバランスにはあっていたようです。

 

そしてストーリーに話は戻るのですが、やはり歴史を知っておかねばと行ってきたのでした。
想像以上のボリュームで、すべて見るのにかなりの時間がかかってしまいましたがたっぷりと学ばせていただきました。
製品としてももちろん素晴らしいのですが、歴史も一緒に持っているのだと思うと重みがありますね。
やはりいいものはいいものだし、いいものにはいいものの理由があるのだと思いました。
わたしにわかりきれるはずもない、歴史を繋いで重ねていくことの大変さとか。それが今も続いている事の凄さと意味。
……壮大なお話でした。
これまでも想像していなかったわけではないですが、やはり目でも見て空気を感じるとよりリアルに歴史を感じ。

 

また自分の持ち物に対する意識が変わりそうです。
やはりストーリーを知ると愛着が増しますね。普段使うものはどうしても切り離せないものですが、大切に長く使えるように。
歴史の重みに負けないように……。

 

そう。使い始めた当時は大分大分背伸びだったバッグ。わたしは、あくまでわたし個人の話ですがわたしは、ある時ふと恥ずかしくなったのです。
今思えば歴史の重みに負けていたのでしょうか。
なんかバッグに持たれているような気がして。このままじゃいけない。(もちろんそれだけという意味ではないけれど)ひとりの人としてもっと厚みがある人間にならなきゃなあ、と思い努力してきたつもり(←)ですが、答えはまだまだ出ません。努力は死ぬまで必要。でも少なくても十年前よりはよくなったかと自分では思っています。
真っ白だったヌメ皮も長い年月を得て深い色に変化しました。
どこか自分のものではなかったバッグにも今は自分の荷物を入れて自分の持ちものとして活躍してもらっています。ものに持たれるという感覚なんてそれまでなかったのですがこの一件でそんな感覚を知った気がします。
不思議な感覚です……。
でもバッグと張り合っているようだったうちはいつもしゃんと背を伸ばしていた気がします。負けないように。ものと戦うって変ですか。ものに隠れて歴史だったのかな。
不思議な話ですが、バッグひとつにある種の生き方を考えさせられたのは事実です。それも歴史パワーだったのでしょうか。今となっては懐かしいです。

 

とにかく深かったです!
何気ないことですが、自分を構成するものって本当に隅々まですべてで。
食べてるものだとか持ち物だとか、そういう細々としたものからも自分は出来上がっているのですよね。
たまに意識すると気が引き締まります。
だらける時はだらけちゃいますが、やっぱりきちんと生きていかねば。

 

では皆さま、素敵な週末をお過ごしください。


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