行間を読む〜インテリジェンス

極端な事を申しますと役者さんも演出者もスタッフも。ことお芝居に関わる人はインテリジェンスが必要だと考えています。

Wikipediaによりますと…

インテリジェンス(英語: intelligence)は、知能・知性や重要な事項に属する情報のこと。諜報活動のことを表すこともある。

とあります。
ぼくがここで言う、インテリジェンスとはある種諜報活動の事を言っています。

 

▼また、Wikipediaを引用しますと…

そもそも諜報とは「謀:はかりごと」に関わる情報をあつかう作業であり、狭義には情報収集を意味するが、広義には分析、評価などの活動が含まれる。インテリジェンス(intelligence)とは、行間(inter)を読む(lego)という意味である。

とあります。
この最後の部分、「行間を読む」というのがお芝居には非常に必要な行為だと考えています。

 

▼では行間を読むとは何なのか。

2017-04-17a
「行間を読む」というのは、「サブテキストを作る、読む」と言い換える事ができます。サブテキストとは、台詞と台詞の間、ト書きとト書きの間、台詞とト書きの間…台本には書いていない情報の事です。もちろん、自分の台詞、ト書き、他者の台詞、ト書きにも自分の役のヒントが隠されていることがあり、これもサブテキストと言うことができます。

▼台本をもらって、まずはじめに自分の役を中心に読みたくなるのはこれは仕方のないことですし、役者さんだったらある意味当然の事だと思います。最初に読んだだけでだけで自分の役の全てがわかったら苦労しません。しかし、役作りにおいては何回も何回も台本を読み、自分の役の情報を活かすことが大切です。

 

▼そこで台本の読み方が重要になってきます。台本の読み方には色々な方法と目的があります。「台詞を覚えるため」と「役作りをするため」の台本の読み方は大きく違います。ここでは、主に「役作りをするため」の台本の読み方の一つを考えてみたいと思います。
既に書きましたが、「役作りをするため」には「サブテキストを作る、読む」ことが必要になってきます。ではサブテキストを作り、読むためには何が必要なのか、まずは「役の情報を収集」することだと考えています。

サブテキストを作り、読む事には大きく分けて3つの段階があると考えています。一つ目は「収集」、二つ目は「分析」、三つ目は「活用」です。一つ目の「収集」は飛耳長目を旨として、色々な情報を収集します。役の名前、性別は言うにおよばず、家族、友人、知人といった人間関係、場面場面の生理状態、心理状態、物語の背景…制限を設けずにとにかく書いてあることから集めます。もちろん、分からない語句、言葉はこの段階で調べます。書いていない事でも想像できるものは想像します。例えば、自分の役が舞台上に現れていない時にどこで何をしているか、などなど。

 

▼二つ目の「分析」。これは「収集した情報」に矛盾がないか、間違った情報はないかなどを精査し、選り分ける事です。この分析を怠ってしまうと、一人よがりの、自分の役が矛盾をはらんだ役になってしまう恐れがあります。例えば…恋愛の物語だったとして、役者本人である自分は一途だから浮気はしないから自分の役もそうだろう、と思っていても、物語の中で他の異性に気を取られてしまうシーンがあれば、そこで矛盾が発生するかもしれない、ということです。

 

▼三つ目は「活用」です。収集し、分析した情報を元に、実際にやってみる。役者さんなら、演技でしょうし、演出者なら演出プランの創造です。この活用の段階でも、矛盾が発生したりした場合、再度収集し、分析していきます。

 

▼サブテキストを作り、読むとは…この収集、分析、活用を1回だけでなく、何回も何回も繰り返す事で精度が上がります。もちろん、稽古中に相手役から受けた印象も「情報」の一つです。稽古毎にこれらのサイクルを繰り返すことはもちろん必要だと考えています。

 

台本という限られた情報を元に如何にサブテキストを作り、読み込み、それを役を生かす為に反映できるか、洞察力、想像力、調査力、考察力、、、、も必要な要素だと考えています。役作りをするためのインテリジェンス。ぼくはお芝居を作る上では必要な作業であり、能力だと考えています。


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