唐突ですが…
今回は『耳は大切』という事について書いてみたいと思います。
耳を鍛えると言う事は役者さんにとって必要不可欠と考えています。
これは「すべての音は耳から入ってくる」という事につきますが、素晴らしい役者さんになると、とても耳が良い事に驚きます。
役者さんになろうと思ったら、発声練習や滑舌、感情のコントロール、仕草、型と言ったごくごく基本的な練習はもちろんの事、”耳を鍛える”と言う事をしなければいけないと考えています。
これは単に、耳がよく聞こえる、ということではなく、”違いのわかる耳”を持つ、という事なのです。
言えておしまいではなく。
例えば、声優さんやアナウンサー、俳優さんの修行の中で、ほぼ最初にやるのが、発声や(滑舌を含めた)アクセントのトレーニングですが、これは無論、所謂”共通語”をマスターするためのものなのです。しかし、「言えて」おしまいではありません。何故ならば、お芝居の役はすべてが標準語、共通語をしゃべるとは限らないのです。このアクセントの練習で耳をより鍛える事で、”アクセントの違い”がわかるようになり、耳で聞き、きちんと認識する事で初めておしゃべりできるようになるわけです。
---赤ちゃんもそうですよね。耳が発達することで、だんだんとおしゃべりが上手になる。
また、こう言う事もあると思います。自分の好きな声優さんや俳優さんの物の言い方があったとします。それを練習の中で真似をする時もまず、聞く訳です。そして、次に真似をしてみる。と同時に自分の発した音も耳で聞く訳です。
舞台上では…
更に、舞台などで効果音や、BGM、相手方の台詞、装置や道具などの音を良く聞く事、それによって反応する事で「目」だけでわからない反応をする事ができます。
別の話になってしまいますが、「台本を覚える」というのも、一日一回、声をだして、(ト書きも総て)読むだけでも、進捗が違ってきます。目の情報だけではなく、自分の声を聞き、耳から入った情報というのも加味されますので。
話を元に戻して、俳優さん、声優さんは『違いのわかる耳』を鍛えるべきだと考えています。
音の高低、抑揚、大小、強弱、、、総ての音は耳から入ってくる訳ですから、自分で練習しているときも、お稽古で他の人のお芝居を見て聞いている時も、”前回との違い”や”自分との違い”を漠然とはではなく、明確に把握する事によって、自分のお芝居に磨きがかかると思います。
耳をより鍛える事、違いを耳で意識することで今までの基礎練習の進歩も舞台作品のお稽古の進捗もちがってくる、私はそう考えています。